初めての夕涼み保育

7月20日21日22日は新型コロナウイルス禍を逆手にとって、今までしたことのない保育を楽しもう!と、年長中組は午後から宵までの保育「夕涼み保育」をしました。

20日(月)本来であれば1学期の終業日です。久しぶりのお日様が出ました。
 いつもどおりの時間に登園して来たのは年少組の子ども達、今日から3日間は年少だけの時間!庭にはもう見たことのないものが並んでいます。
今日の設えは「寒天ゼリー」と「色水」です。牛乳パックを利用して先生方があらかじめたくさんの寒天ゼリーを作って冷蔵庫で冷やして準備していました。淡いやさしい色合いの、でも1リットルパックの大きさのゼリーですからけっこう迫力があります。パックから出されたゼリーはこんにゃくの塊のようですが、掴むとぷるるんと崩れていきます。バットの中でつぶして楽しむ子、包丁で食材のように切って楽しむ子、水の中で細かくなるまでつぶしている子、ゼリーが崩れる感触と冷たい心地よさを存分に味わっていました。
 「色水」はペットボトルに絵の具を溶かして赤・黄・青の色を用意し、子ども達はおもいおもいにボトルやカップに水を入れたものに好きな色を混ぜていきます。薄いのから濃いのまでさまざまで、お友達と比べてみたり並べてみたり、少しずつお友達から違う色をもらって混ぜてみると、「グレープジュース」「オレンジジュース」ジュース屋さんが始まります。きれいな色・おいしそうな色、でもみんな違う色!お友達のあんなのが作りたくて色を足していっても思い通りの色にはなりません。でも思ってもみなかった色ができたり、色の不思議、色の面白さを楽しんでいました。
 年長中組は昼すぎに登園してくるなりのハイテンションでした。それぞれに主体的な活動を楽しんでから2階の森の広場で影絵劇団「かしの樹」の影絵公演を観劇しました。
影絵は準備と後片付けに時間がかかり、なかなかお呼びできないのでこのチャンスにお願いしました。導入の「シルエットファンタジー」と「はらぺこプンタ」の物語を1時間楽しむことができました。
子ども達は保育の中でも自分たちでシルエットあそびを工夫して製作していますが、公演の中ではどうやって写しているのかを見せてくれる場面があったので、きっと発見があり新しい発想が広がっていくのだと思います。
夕飯のお弁当を食べるとさすがに動きも落ち着いて、そろそろお迎えという時間には長い夏の1日もとっぷりと暮れていきました。
暗くした部屋で早速シルエットあそびをしていたり、Fハウスの庭ではライトアップして絵本の読み聞かせをしていたり、それぞれに夕闇を楽しんでいました。

21日(火)年少組の登園時には庭にブルーシートが広げられ、6台の机に大型のパレットがあり、鉄棒のところに大きな紙を張った板が用意されていました。
登園して来た子ども達は、先生から説明を聞いて、汚れても大丈夫な格好になって出てくるとフィンガーペインティングのスタートです。机からはみ出すほど大きなパレットに赤・黄・青の絵の具が流し出されると、両手でかき混ぜ始める子ども達、最初から大胆にかき回す子、用心深く少しずつ始める子とそれぞれ。先生が他の色を入れていくのをすぐに両手を使ってかき混ぜると、6枚のパレットが6種類のきれいな色になりました。
体に塗りつける子、紙に描く子、絵の具の感触をじっくり味わっていましたが、足洗い桶にも絵の具が入れてあったので、しまいには中に入り込んでいて、滑って転んでそれが楽しくなる子、ビニールシートに絵の具がたまるとツルツル滑って何度でも転び、転びながら歩き方を習得していく様子がありました。色水もそうですが、赤・黄・青からさまざまな色が広がっていくことを体験、体感したことでしょう。1日目も2日目も「見ているだけ」の子がいます。それもひとつの参加の姿ですからいずれ挑戦するのでしょう。
顔や首にまで、髪の毛もバリバリになったのを洗いましたが、青い肌色で帰る子がいたようです。下着もしっかり染まって洗っても元には戻らないのでぜひ幼稚園用の下着にして、園には汚れてもいい服でいらしていただきたいです。
 年長中組は今日はウレシパモシリのケロちゃんとさっちんとひろさんが来園して火の活動を一緒にしてくださいました。すみれ組のお部屋が暗幕で暗くなっていて、ちゃんちゃんこに手ぬぐいの姉様かぶりをしたケロちゃんらしき人がろうそくの灯りでお話しをしています。入れ替わり立ち代り聞いてみたい子が「こわいお話しでもだいじょうぶ!」とじっくりお話しの世界に浸って楽しんでいました。
ろうそくに灯がともると「わーきれい」とおもわず集中し、燃え尽きるときには「いいにおい」ケロちゃんこだわりの蜜蝋にすかさず反応する子どもたちの鋭い感性です。
ゆり組の部屋はシーツのスクリーンがかかったシルエットあそびの劇場になっていて、椅子を並べて客席も用意され、観たい子どもたちがお客様になっていました。
夕食後、各クラスでは「勇気の火」というお話しが先生からあり(一人ひとりの勇気の火を育てていくというお話し)皆庭に出て来ました。
さっちんが森の木の精になり火熾しが始まります。やわらかくほぐしたように見える焚き付け用のもの、細い棒のようなもの、板切れのようなもの、しっかりした薪。たった一本のマッチの小さな火からいろいろなたきぎを順番に燃やして焚き火を作っていきます。
焚き付け用のほぐしたものにマッチの火を移す時にはちょうど風が吹いてなかなか火がつきません。「風はどっちから吹いている?」「どうしたらいいかな?」みんな思いついたことを提案してくれます。
やっと燃えあがったのはみんなの「勇気の火」です。子ども達はあらかじめ作ってあったランタン(空き缶に目打ちでおもいおもいに穴を開けたものに割り箸の持ち手がつけてあります。)のろうそくに勇気の火を分けてもらって点火していきました。
全員が自分のランタンに勇気の火を点火し、しばらくろうそくの灯りを味わってから最後には焼いてとろりと甘くとろけるマシュマロに舌鼓をうちました。
お帰りの時間には宵闇にランタンがきれいに映えて保護者の皆様にもご覧いただくことができました。

22日(水)3日目、最後の1日は全学年が一人ひとりの主体的な活動をしました。
年少組では朝パラついていた雨がやんで日差しが出てきました。保育室でご挨拶、先生のお話を楽しく聞いて、みんなで庭に出て来ました。裸足になってあそぶ子もいて、心の赴くままにそれぞれが興味関心を持った活動に没頭して過ごしました。
 入園から2ヶ月が経ち、組の先生との信頼関係がしっかり結ばれています。毎日の積み重ねの中でお友達とのかかわりもでき、一緒に活動する姿もありますし、あそびたいお友達に呼びかけていたり、来て欲しいお友達の名前を口にしている姿もあります。(先生に促されて自分から駆け寄って行きました。)毎日刺激を受けながら強くたくましく、優しく成長していって欲しい年少さんです。
年少組のお迎えの時間は急などしゃ降りの雨が降り、その後年長中組の保育中は何度かにわか雨が降ってきました。雨でも動じない子ども達は早速空き缶に雨水を溜めていたり、ツリーハウスのテントに入っていたり、おかまいなしに活動をしていました。
夕食後は先生方が考えて準備したミッションをクリアしていく活動で、クラス毎、あるいはグループ毎で森の広場や庭を巡りながらあちらでもこちらでも楽しそうな歓声があがる大興奮のひと時となりました。
ミッションを楽しんでいるうちにだんだんあたりが暗くなっていきました。
最後までクリアしたミッション、昨日はひとつずつだったマシュマロが今日はおかわりもあり(雨の中園長先生が炭を熾してくださいました。)という、みんな思ってもいなかったご褒美が準備されていました。
 清心幼稚園ではそこに必要性を見出すことができないのが理由で「お泊り保育」をしていません。今回は暑さ対策や密を避けることもあって時間帯を変え、初めて夜の保育を楽しもうと計画をしました。ですが夏の日暮れは遅くてお迎えの時間にようやく暗くなるようなあんばいでした。
 いつもと比べてあらかじめ企画された活動が多かった中で、現実の生活と想像の世界が未分化の幼児特有の姿が際立つ場面が見られたり、いつもと違う時間という設定の中ではその認識がある子とない子の姿、こわいお話しを自ら辞退する子と挑戦して最後まで貫徹する子、一人ひとりの育ちの今の姿がよく見える機会が多かった3日間となりました。
本当はあと30分遅くまで保育がしたかったのですが、子ども達の生活リズムと健康を考慮しての時間設定となりました。保護者の皆様今回もご理解ご協力をありがとうございました。
令和2年7月31日

2020年07月30日