新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が全面的に解除され、清心幼稚園では6月より保育を開始する準備をしています。
小中高校の授業再開では少人数の授業を様々に模索している様子が報道されています。
しかし幼稚園では幼児が対象ですからその対応には違いがあります。
ウイルスという目に見えないものの脅威を想像して理解し、対策として自分の行動をコントロールできるようになるのは早くても小学校3・4年生くらいなのだろうと考えています。
清心幼稚園ではこどもが主体の保育を実践しています。そのため毎日の保育はこども一人ひとりの興味関心を捉えることから展開されるので、○○をしなければならない、○○をさせなければならない、ということはありません。こどもが獲得する学びのなかで、休園によって獲得できなかったことの一番はこども同士のかかわりです。いまさらですが、こどもは同年齢や異年齢の様々な仲間とともに活動していく中で共感や反発を繰り返し経験しながら、情緒・精神的な成長と安定を培いつつあるべき姿・望ましい姿勢を学んで社会に適応することを覚えていきます。
幼児期はコミュニケーション獲得の最中であり、お互いの考えや気持ちを伝え合うときには言葉だけではなくボディーランゲージで表現します。抱き合ったり、じゃれあったり、暴力を伴うけんかが起きます。そんな時期にいるこどものソーシャルディスタンスとはどのようなものでしょうか?お互いの距離をとり・対面ではなく横並びで・・・。自己表現を禁止するに等しい規制ができるとは到底考えられません。
マスクはどうでしょうか?大人はマスクの効果がどの程度なのかを認識したうえで、良識として、「私は十分配慮していますよ」という姿勢を社会に示すために着用していることが多いと思います。マスクをしていないとあからさまにいやな顔をされますし、入場を断られる店舗や施設もあり、まだ新型コロナウイルスの治療法が確立されていない現段階では当然のことだとも思います。
私達はたくさんのこども達を長年保育してきた経験から、どろんこあそびでは現実的にマスクなどできないでしょうし、マスクをすることのリスクをいくつも数え上げることができます。マスク着用の効果とリスクを総合的に考慮した上で、清心幼稚園では保育中にマスクを着用する指示はしないこととします。保護者が朝マスクをさせて登園してきた子が保育中に自分でマスクをはずしても再び着用させることはしません。保育中の職員についてもこどもと同じように、苦しい時や着用しにくい時にはマスクを着用しなくてもよいと決めました。
5月26日朝日新聞の朝刊に日本小児科医会の声明発表が掲載され、2歳未満ではマスクをしないように、とそのリスクを明確に示していました。保育のプロとしての経験から感じていたことに医学的科学的な裏付けがされたことで大きな自信を持つに至りました。
こども達にはその活動に最小限の規制で接したいと思っていますが、新型コロナウイルスに関しては依然として脅威が継続しているので、園児保護者におかれましては園の考え方をご理解いただいた上で、それぞれの事情を照らし合わせ不安材料をお持ちの方は最終的には保護者判断での休園を選択していただくことをお願いするしだいです。